2016年5月1日日曜日

本のある国に戻る

酒のない国へ行きたい二日酔い
 また三日目に帰りたくなる

引越しで
大量の本の移動であんなに苦しんだのに
いったん片付いてしまえば
神保町に行った以上、
本を漁らない、
というわけにはなかなかいかない。

長年の性分はなんとも致し方ない。

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今回の一番の目玉は「尉繚子(うつりょうし)」かな。
400円。

孫子と違って、尉繚子の本はあまり見かけない、
というのもあるが、
同じ著者の「兵法七書(全5巻)」の中で
この巻だけ自序がやたらと長い。
全258ページのうち、「読前感」48頁、「読後感」14頁、
他に自序6頁が付され、著者がやたらと語っている。

一緒に買った「孫子」は
同じく全258ページに付されている
「著者の私語」は僅々5頁である。

彼ら(春秋時代の兵法家)は
先ず国際条約の忠実な遵奉者として出発する。
---略---(条約を)作ったのは誰かといえば
武力を背景とする強国であるから
たとひ条文に国際正義を盛り上げても
自己の束縛されるやうな文字は
一文字だって挿入しないだけの用意が周到にある。
---略---正直さうな顔して
自己擁護の塹壕を掘るに忙しい強国は満足国であるから
現状維持を利益とする。
どんな国際条約でも
現状維持の上に立ってゐるのは、
それを平和主義と思はせるからであるが、
貧乏人と金持ちとが同一の標準で暮らしてゐたら、
だんだん貧富の差が増大して、
わかり切った結論となる……
戦争真っ只中の昭和18年、
どのような気持ちで書かれ、読まれたのだろう。

もうひとつ面白いのは
漢語に中国音の振り仮名がついてること。
最近の新聞は人名に中国音の振り仮名がついていたりするが
これは、英語の標記/発音への配慮らしい。
戦争であれ、満州であれ
当時は中国語が今よりなお身近であったのだろうか。
孫子の方では
「三点水児」に「さんずい」
「左耳児」に「さとへん(こざとへん)」
という振り仮名がついていたりするのも面白い。

















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「侵略神社」の名は過激とも思われるが
戦前の海外神社と神社行政が淡々と叙述されている。
朝鮮、台湾、南洋諸島等々の神社の写真が
140頁以上にわたって収載されているのも興味深い。

写真はサイパン(彩帆)神社(左上)、南洋神社(右側2枚)

敗戦に際し、
朝鮮等の神社では
ご神体は日本に脱出させ
神社自体は汚されたりすることの無いよう
神職らによって破却、焼却されたそうだ。

自由価格本で、定価3000円が1000円となっていたので
買わないわけにはいかなかった。

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