2016年4月20日水曜日

宿執開発の守宮

前の家には巣箱を2つかけていた。
巣箱に入居するのは毎回四十雀だが
テリトリーの関係で、2つに同時に営巣することはなかった。

そして今回も一方に営巣があったので
此の方には営巣はなかった。

外してみたら
中にスズメバチの巣があった。
去年の夏はむしろスズメバチは少なかったが
まさか自分の家に巣があったとは…

処分するにせよなんにせよ、
ということで
新居に持ち帰り
あらためて中を見てみると
ヤモリまで連れてきていた。
ヤモリ(家守り/守宮)を連れて来たとは
なかなか縁起が良い。

目玉がくりくりして
グローブのような大きな手で
やもりはなんだかのんきでユーモラスである。

フラッシュをたいて写真を撮ると

 くぅ~

という小さな声がする。
また撮ると

 くぅ~

という。
ヤモリが鳴いているのであった。
初めて聴いた。
とてもかわいい。
「空(くう)」と誦しているように聞こえる。

あな尊(とうと)や。
宿執開発(しゅくしゅうかいほつ)の虫かな。
空、空と唱ふるぞや。

来世は善道に生まれ来られるに違いない。




栂尾の上人、道を過ぎ給ひけるに、
河にて馬洗ふ男、「あしあし」と言ひければ、
上人立ち止りて、
「あな尊や。宿執開発の人かな。
阿字阿字と唱ふるぞや。
如何なる人の御馬ぞ。
余りに尊く覚ゆるは」
と尋ね給ひければ、
「府生殿の御馬に候ふ」と答へけり。
「こはめでたき事かな。
阿字本不生にこそあンなれ。
うれしき結縁をもしつるかな」とて、
感涙を拭はれけるとぞ。
             (徒然草)

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